ルーム【ソリッドシチュエーションスリラー映画レビュー】

製作国:カナダ/アイルランド/イギリス/アメリカ
上映時間:118分
原題:Room

配給:ギャガ/カルチュア・パブリッシャーズ
監督:レニー・エイブラハム
出演:ブリー・ラーソン/ジェイコブ・トレンブレイ/ジョアン・アレン
閉じ込められている場所:誘拐犯の部屋

 

■あらすじ

髪の長い5歳の少年ジャックと母親のジョイは天井に窓が1つある6畳ほどの部屋で暮らしています。日曜日になるとオールド・ニックと呼ばれる男が部屋に現れ、生活に必要な品を置いたかと思うと、その後ジョイと布団にもぐりこみベッドをきしませるのです。

 

その間ジャックはクローゼットに隠れていなければなりません。

 

そして事が終わるとオールド・ニックは部屋の外側から鍵を掛けて去っていくのです。

 

ジョイは17歳の時にオールド・ニックに誘拐され、7年間この部屋に監禁されています。

ジャックはその誘拐犯との間に生まれ、5年間この部屋だけで生活してきたのです。

この部屋がジャックの世界全てなのです。

テレビに映し出されるのは宇宙だと思い込み、疑う事もなく無邪気に日々を過ごすジャックを見てこのままではダメだと部屋を脱出する事にしたのです。

 

ジャックを死んだことにしてカーペットに包み、埋葬のためオールド・ニックに外に運ばせ、道中ジャック自ら脱出し助けを求めるというものでした。

 

テレビに映る世界は宇宙などではなく、鍵の掛かった扉の先に本当にあるという事、この部屋を抜け出し外の世界に行く事。なかなか受け入れる事が出来ないジャックを説得し作戦を決行します。

 

ジャックは何とか作戦通り部屋から運び出され、トラックの荷台でカーペットから抜け出した時、天窓越しではなく直接青く広い本物の空を見たのです。

 

ジャックが世界と出会った瞬間でした。

 

トラックから逃げる事に成功したジャックは近隣の住民が通報して駆けつけた警官に保護されました。さらにジャックの証言からジョイの監禁場所も突き止められ、オールド・ニックは逮捕され、2人は再開を果たすのでした。

 

2人は病院に入院し、様々な検査をしました。退院後はジョイの母親とその再婚相手と生活する事になりました。

 

新しい世界に順応していくジャックに対し、ジョイにとって空白の7年間は非常に長く、世界は残酷で非情でした。

 

家族との溝、連日押し寄せるマスコミからの心ない質問にさらされるジョイ。

とうとうジョイは多量の薬を服用し、自殺を図ってしまいます。

 

一命は取り留めたジョイですが、心の傷を癒すため再び入院してしまいます。

 

ジャックから自分の髪を切ってお守りとして渡されたジョイは、回復し退院することができました。

 

ジャックは戻ってきたジョイにあの部屋にちょっとだけ帰りたいと言います。

 

2人にとって全てだった部屋。

久しぶりに戻った部屋はどこか違って見えます。

ジャックはここでの思い出に別れを告げ、2人は去っていくのでした。

 

■みどころ

本作はオーストラリアで起こったフリッツル事件という監禁事件を基に書かれた小説『部屋』を原作としています。

 

冒頭から描かれる親子2人の生活はあまりにも衝撃的なもので、見るに堪えない内容です。

 

対して、画面に映し出されるジャックは無邪気で明るく笑顔に溢れています。

 

そのコントラストがよりこの状況の異常さ、残酷さを色濃いものにしています。

 

部屋から脱出する時の緊迫感も凄まじく、その先でジャックが見たものは〝単なる外〟ではなく、〝生まれて初めて触れる世界〟なのです。

 

どこまでも突き抜けるような青い空がそれを象徴しています。

 

そして本作の最も特筆すべき点はこの部屋からの脱出がゴールではないという所です。

 

5歳で初めて外の世界を知った子と7年間監禁された母親がいかに社会に復帰していくかというセンシティブな部分を描いており本作に社会派な一面を持たせています。

 

監禁生活の恐怖から解放された2人は世間の恐怖にさらされる事になり、そこをどのようにして乗り越えていくかが見どころとなっています。

 

主演のブリー・ラーソンの演技は高く評価されており、アカデミー賞主演女優賞を受賞しています。

 

さらに注目はジャック役のジェイコブ・トレンブレイです。

 

世界を知らないという非常に難しい役どころですが、本当に初めて空を見たかのようなあの瞳には感嘆せずにはいられません。

 

■感想

このような事件が実際にあったのかと思うと非常にショッキングですが、人の弱さ、強さを鮮明に描いており、明確なハッピーエンドやバッドエンドではないところに新しい世界での2人の生活がしっかりと続いてくように感じ取れます。

 

人はどのような状況でもその環境に慣れ、それが当たり前だと思ってしまいます。

 

そこから抜け出す事は恐怖が伴い、なかなか踏み切れないかもしれません。

 

でも、その先に限りなく広がる青空が待っているのかもしれません。

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ターミナル【ソリッドシチュエーションスリラー映画レビュー】

製作国:アメリカ
上映時間:129分
原題:The Terminal

配給:ドリームワークス/UIP
監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:トム・ハンクス/キャサリン・ゼタ=ジョーンズ/スタンリー・トゥッチ
閉じ込められている場所:空港

 

■あらすじ

クラコウジアという小国からはるばるニューヨークを目指しJ・F・K空港に降り立ったビクター。

しかし、クーデターにより政府と共に国が事実上消滅してしまい、パスポートとビザが失効。入国することも、自国に帰る事も出来なくなったビクター。つまり彼は空港に閉じ込められてしまったのです。

さらに彼は英語が出来ず、警備局のディクソンからの入国不可の説明を理解出来ません。

テレフォンカードとフードコートのクーポン券を渡され、ロビーへ戻されるビクター。

そして、そのロビーでテレビ画面に映し出される祖国の状況を目の当たりにし涙を流すのです。

ディクソンはそんなビクターを自らの昇進の不安材料と判断し、違法入国させることで空港から追い出そうとしますが、愚直なビクターは頑として空港で待つことにしたのです。

ここからビクターの空港での生活が始まるのです。

ビクターはまずカート返却することによって小銭を得られることに気付き、そのお金でハンバーガーを食べることが出来ました。

しかし、ビクターを煙たがるディクソンにより邪魔されてしまいます。

その後もディクソンからの妨害や追い出し作戦を受けながらも清掃員のグプタやジョーなど空港の人たちと交流を深めたり、地道に英語を勉強したりといつ出られるとも分からない空港で必死に生活していきます。

空港で過ごす中でビクターは客室乗務員のアメリアと出会い惹かれていきます。

そんな時に事件が起きます。

薬を持ち込み入国審査に引っかかった男性が暴れ出したのです。男性は英語が話せず、事態の収拾を迅速にしたいディクソンは言語が近いビクターに通訳をさせるのでした。

ここでビクターは機転を利かせ、許可が必要ではない動物用の薬だと職員に伝えるのでした。父親を助けるためにアメリカへやって来た男性は何とか薬を手にし、入国するのでした。

この件でビクターの噂は瞬く間に空港内に広がり、誰もがビクターに対して友好的に接するようになります。

そして周囲の協力のおかげでアメリアとのデートを取り付けます。ビクターはアメリアに対してアメリカへ来た理由を語ります。

ビクターが大事に握りしめていた缶には、ジャズが好きだった亡き父親が40年かけて集めたあるバンドメンバーのサインが入っており、最後の1人のサインを手に入れる為にアメリカへ来たのです。

その後、ビクターのもとへ祖国の戦争が終わったと知らせが届きます。

ビクターは空港の職員たちと喜び合いました。

さらにアメリアが1日だけ使える特別ビザを用意してくれたのです。

空港の職員たちに盛大に見送られるビクター。

そして遂に最後の1人ベニー・ゴルソンのサインを手に入れる事が出来たのでした。

タクシーに乗ったビクターは運転手に告げるのでした。「家へ帰る」と。

 

■みどころ

空港で生活をすることになるという、なんと突飛な設定かと思いきや1988年から18年間パリの空港で生活した男性の日記『ターミナルマン』をモデルとしているのです。

言葉の通じない外国の空港に閉じ込められるなんてかなりの不安と心細さに襲われそうですが、ビクターはいつでも明るく、どんな状況でも前向きに生きていこうとします。

孤独から始まった空港での生活ですが、ビクターの直向きな人柄が徐々に空港職員の心を掴み、空港から出る頃にはみんなと喜びを分かち合える程にまでなるのです。

名優トム・ハンクスと巨匠スティーヴン・スピルバーグのタッグが贈る心温まるヒューマンドラマです。

 

■感想

忙しなく行き交う人、旅に胸を躍らせる人、久しぶりの再会や永遠の別れ。

様々な人々が集まる空港で描かれる1人の男の物語はロマンスあり、コメディあり、少し切なくもあり、その姿を微笑ましく見守りながら元気を貰える作品でした。

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エレベーター【ソリッドシチュエーションスリラー映画レビュー】

制作国:アメリカ
上映時間:84分
原題:ELEVATOR
配給:
監督:スティーグ・スヴェンセン
出演:クリストファー・バッカス、アニタブリエム、ジョン・ゲッツ、シャーリー・ナイト他
閉じ込められている場所:エレベーター内

 

ある日、アメリカのニューヨークのウォールストリートにある“バートン・ビル”でバートン会長が主催する豪華パーティーが開かれました。

 

会場へのエレベーターでは不審者が入り込むのを防ぐためにエレベーターに乗車する際には身分証明書を提示しなくてはなりません。バートン会長は孫娘のマデリンを連れて、エレベーターへ乗り込みました。エレベーターには若い中期定期証券会社の社員のドンと、その恋人で挙式間近のテレビ局のアナウンサーのアサナ、バートンの会社の職員で中年の肥満体系男性のマーティン、ユダヤ系の閉所恐怖症のコメディアンのジョージ、バートンの会社の顧客で投資家の杖をついた初老女性のジェーン、妊婦の若い女性セーリン、バートンビルの警備員モハメド、そしてバートン会長と孫娘マデリンの計9人がエレベーターの中に乗り、パーティー会場へと向かいました。

 

エレベーターはゆっくりと上昇していきます。しかし狭いエレベーターの中で9人の人間に囲まれて閉所恐怖症のジョージは少しずつ落ち着きを失っていきました。その様子を見た会長の孫娘マデリンはいたずら心からジョージのほうを見つめながらエレベーターの緊急停止ボタンを押したのです。

 

エレベーターは49階で停止しました。マデリンがわざと緊急停止ボタンを押していたことを目撃していたジョージはバートン会長にそのことを訴えますが、バートン会長は孫娘は誤ってボタンを押したのだと言って、ジョージにクビを宣告します。そして緊急停止ボタンを引っ張って解除しましたが、エレベーターは止まったままです。ジョージはパニックになり呼吸が早くなっていました。このままでは過呼吸になってしまうと初老の女性が携帯用ウイスキーを勧め、アルコールが入るとジョージの様子は少し落ち着きました。

アナサは同僚のニュースキャスターにエレベーターに閉じ込められたことをメールし、警備員のモハメドは無線で連絡を取ろうとしますが電池切れでした。バートン会長は何度かボタンを押せば治るはずだとボタンを押しますがエレベーターはほんの少し動くそぶりを見せるだけで止まったままです。エレベーターについているヘルプボタンを押すと、警備室に繋がり、「管理室に連絡します」とだけ告げられました。

 

10分くらい経過しましたが、エレベーターは動きません。妊婦のセリーンは妊娠してからトイレが近くなったため、そわそわしだしました。こんな事態になってしまったのはマデリンのせいだとマデリンを責めますが、マデリンもジョージに反発します。重たくなった雰囲気を変えるため、マーティンがバートン会長に「今期で引退するという情報は本当なのか」と尋ねます。ジェーンは「7500万ドルも設けたものね」と付け加えました。引退の件は真実で、バートン会長はこのパーティーでそれを公表しようとしていました。

 

初老女性のジェーンは現在クリーブランドに住んでいて、ニューヨークに25年ぶりに来たこと、夫は数か月前に亡くなったことを話しました。妊婦のセリーンはドンに結婚式がいつか尋ねます。3月だとドンは答えますが、アサナはなぜセリーンがドンの結婚を知っているのか不審に思います。実はセリーンはドンの元同僚で、しかもおなかの子はどうやらドンの子供らしいのです。

初老女性のジェーンが倒れました。そしてなかなか動かないエレベーターのなかで、語り始めました。息子がイラクで戦死し、息子を亡くした慰めに夫とボートを買おうと約束し、バートン社に投資したものの一門なしになってしまったこと、それに落胆した夫は拳銃で頭を撃って自殺してしまったこと、夫は死んでしまったのに会長は7500万ドルを手に入れていることへの恨み…そして、「こんなところで死にたくない、爆弾がある」とだけ言って心臓発作を起こし亡くなってしまいました。

 

爆弾という言葉を聞きアサナは会社のニュースで流す動画を取り始めました。そして妊婦のセリーンがジェーンの身の回りを確認したところ、身体に爆弾が本当にまいてあったのです。

 

ドンがエレベーターのドアを開けようと言い出し、みんなの力を借りて、ドンが死んでしまったジェーンの杖を使ってエレベーター乗り口のボタンを外から押そうとしたとき、マデリンがLボタンを連打したため、エレベーターは下降し暗転しました。しばらくして電気が復旧するとドンの右腕が切断されていることがわかりました。マデリンは「私は悪くない」と何度も呟きました。バートン会長も額を打って出血しています。

 

マーティンがスマホでテレビを写すと、爆弾を作った犯人がテレビ局のインタビューに答えていました。爆弾を起動した後2時間で爆破し、停止はできず、あと10分程度で爆発するというのです。アナサに電話がありFBIと爆弾処理班が向かっているという情報が入りますが到着まで10分以上かかってしまうのでこのままでは間に合いません。男性陣で扉を協力して開けようとしますが失敗します。爆弾を外に投げ出せばいいとマーティンが言い、刃渡りの小さなナイフを見つけますがコードの切断はできません。するとバートン会長はジェーンの腹部を切り内臓を引きずり出しました。背骨を折ろうとしますがなかなか折れません。マデリンはまだ「私は悪くない」と呟いています。

 

エレベーター内にマイクの音声が流れました。爆弾処理班が到着したのです。爆弾処理班は下にエレベーターを移動させました。エレベーターの上部が少し開きます。エレベーターの隙間から次々に避難していきますが、太りすぎていたマーティンと爆弾を体に巻き付けたジェーンは出ることができず、2人は爆発に巻き込まれて死んでしまいました。

 

みどころ

序盤はエレベーターに閉じ込められているものみんな落ち着いていますが、後半になるにかけて視覚的なグロテスクさがあるので刺激がほしい方は楽しめる作品かもしれません。

 

エレベーターに乗り合わせたのは実は何かしらつながりのある9人で、エレベーターに閉じ込められて時限爆弾が爆発するまでに全員なんとかして脱出するというわかりやすい展開になっています。

 

感想

すべて会長の孫娘がいたずら心でエレベーターの緊急停止ボタンを押したことが原因で、そんなことしなければ誰も死なずに済んだし、それを反省もしていない様子で話が進むので、孫娘に腹を立てながら話を見進めていかなければなりませんでした。

 

9人は実はつながりがあるのに少し揉めるだけで、大きな展開は生まれないのが少し物足りなかったかなと思います。

 

グロテスクなシーンが2シーンほどあります。果たして必要なシーンだったのかという疑問は残ります。好き嫌いがはっきりと分かれそうな映画です。

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アルカディア【ソリッドシチュエーションスリラー映画レビュー】

制作国:2017/アメリカ
上映時間:111分
原題:The Endless
配給:クロックワークス
監督:ジャスティン・ベンソン、アーロン・ムーアヘッド
出演:ジャスティン・ベンソン、アーロン・ムーアヘッド他
閉じ込められている場所:生死を繰り返す不可思議な領域

 

 

アルカディアあらすじ

主人公の2人の兄弟ジャスティンとアーロンは10年前、カルト集団とも言われる自給自足の村「アルカディア」を脱走し、今は町で暮らしていました。

 

ある日2人の元にビデオテープが届き、再生してみるとそこには女性が写っており、全員「昇天」したといっていました。ジャスティンは「昇天」=集団自殺のことであると考えており、現に10年前集団自殺を嫌がってアーロンを連れて脱走したのであった。しかし脱走してから10年がたっていて、弟は「村人が本当に自殺したのか、戻ってみたい」といい、はじめは反対していた兄ですが寄るのは少しだけで、1泊したら戻るという約束で「アルカディア」の村へ出発しました。

 

車で村の近くまで来ると、村の入り口には杖のようなものが刺さっていました。そして村に着くと村の様子や香り、そして村人は40歳になるはずですが以前と全く変わっていませんでした。村人は2人を歓迎し、夜になると焚き火を囲みました。そして兄は村のリーダー格のハルにビデオの話をしました。そして村の伝統儀式などをして夜の時間を過ごしました。弟がもう1日村に残りたいというのでもう1日だけ村に残ることにしました。

 

2人は村でののどかな日常を過ごしますが、何かが引っかかります。兄がハルに訪ねてみると「何かが起こっていると思うが、皆答えがわからない」と答えます。夜空を見上げると月が2つありました。そして「湖にあるブイのところに潜って真下にあるものを掴め、答えが見つかる」「偉大なる存在。我々を支配する力、神、永遠の時間」といいました。

 

翌日兄はハルの言葉通り湖に潜りました。そして湖の底から引き上げた工具箱野中にはテープが入っていました。「神に身を捧げれば、宇宙と一体になれる」と兄が終末について教えを説いている映像でした。ハルは偉大なる存在のメッセージであり、今回は「許し」であるといいました。このテープを見て兄とハルは言い争いになり、ハルは兄弟に村に出るよういいましたが、弟のアーロンは村に残るといって聞きません。兄が弟をおいて村から出ようとしますが、車のエンジンがかからず、徒歩で村から出ようとすると道に迷ってしまいました。

迷っていると小屋を見つけました。小屋に行くと首を吊った男がいて驚くと目の前の死体と同じ男が後ろから現れました。その男はここに住む人間はそれぞれのスパンでループしているということ、そのループが長い人間もいれば短い人間もいることを教えてくれました。男は数時間おきに自殺をして、しかしすぐに生き返ってまた自殺をするということを何回も何回もループしているのでした。リセットする瞬間にその境界内にいるとおまえも永遠に抜け出せない、道を教えてやるからある男の家に行き銃をもらってこい、視覚に頼るなコンパスを見ろ、といってコンパスと地図を渡してくれました。

 

そしてその頃、弟は兄と昨晩喧嘩してしまったが兄を見つけたいとハルに助けを求めます。ハルは道を教えてくれました。そして空には3つの月が出ていて3つめの月が満ちる前にここに居たいかどうか決断しろと言いました。

 

兄は銃を持った男の家につきました。そしてその家には2人の男がいてこの2人の男たちもまた無限のループを繰り返していました。銃をもらい、急いで境界を抜け出しました。

 

弟はテントを見つけました。テントの中では5分刻みで生きたり死んだりを繰り返している男を見ました。そして急いで兄を探し巡り会えましたが、弟はここに残りたいと兄に告げます。兄は、アルカディアの村に住めば永遠に生きることができるが、生きたり死んだりを繰り返す同じことの繰り返しだと説得しますが、弟は街に帰ってもつまらない日々の繰り返しだと反論しました。

 

2人が「アルカディア」に戻ると、いつもは鍵かかかっている小屋の鍵が開いていました。中に入ってみると小屋の棚にはびっしりとビデオやカセットが詰まっていて、テレビには最新の自分たちが映っている映像が映し出されていました。そして「アルカディア」の住民たちが1日目に自分たちを歓迎し、儀式をしていた広場に集まっている映像があって、偉大な何かが人々を飲み込み、さらに2人を襲おうとしていました。2人は必死に車を手で押してエンジンをかけます。後ろから何かに追いかけられていますが、なんとか元来た世界に戻ることができました。しかし「アルカディア」の住人はまたしても再生し、ループは続きます。

 

みどころ

密室系サスペンス、ホラー映画のジャンルにはなりますが、映画全体のテーマとしてははじめ劇中に挿入されている引用文「人間の感じる最たる恐怖は未知なるものへの恐怖である」「友人は互いに感情を打ち明けるものだが」「兄弟が本音を明かすのは死の間際」というものがテーマであるように感じます。未知なる恐怖「アルカディア」を通して兄弟愛が最終的には深まっていくというような人間ドラマになっています。

 

また、主演のジャスティン・ベンソン、アーロン・ムーアヘッドが監督・脚本・撮影・制作を手がけており、ヌーシャテル国際ファンタスティック映画祭で国際批評家賞、プチョン国際ファンタスティック映画祭で最優秀作品賞を受賞しています。

 

感想

以前抜け出した集団自殺カルト集団に戻ってみるというあらすじから、もっとすさまじいあまり理解することのできない、視聴中ずっとよくわからない恐怖に包まれるのかと身構えていましたが、のどかな田舎町が舞台で、むしろ理想的な暮らしとまでもとれるような村で、暴力シーンや流血シーンも少なく視覚的な刺激は少なかったです。

 

しかし、不思議な伏線は序盤から出ては来るのですが映画の最大の盛り上がりが映画の終盤間近であるため、面白いという感想を抱く人もいれば、少々つまらないなと感じる人も多そうです。

 

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パラノーマル・アクティビティ【ソリッドシチュエーションスリラー映画レビュー】

制作国: アメリカ
上映時間: 86分
原題:Paranormal Activity
配給: 米・パラマウント映画、日・プレシディオ
監督: オーレン・ペリ
出演: ケイティー・フェザーストン、ミカ・スロート
閉じ込められている場所:家のなか

 

アメリカのとある家にケイティとミカという二人の男女が住んでいました。ケイティは8歳から不思議な現象に悩まされていて、13歳で実家が全焼しています。これを聞いたミカは、この家でも不思議な現象が起こるかもしれないと家の中に定点カメラを置いて24時間体制で監視できるようにしました。ケイティはカメラをいやがりましたが、ミカはカメラを回すことを諦めません。そしてカメラを設置してからは悪いことが次々に起こるようになりました。

 

2人は学者のフレドリクス博士を家に呼びました。博士は家の中に入るととても怖がっており、家の中が負のエネルギーで充満されていて、ケイティが呪われていると話し、悪霊研究家のエイブラムス博士を紹介します。そして、悪魔を怒らせてはいけないと忠告し、帰って行きました。

 

もうこんなカメラを回すことはやめようと提案するケイティに対し、ミカは少しだけこの状況を楽しむように、自分で何とかしようと考えます。ヴィジャボード(外国版こっくりさんのようなもの)で悪魔と話をしようと考えますが、ケイティに強く反対されてしまいました。それからもたびたび不思議な現象が起こります。そのころ不思議な現象は主に夜に起こっていました。二人はドアを開けたままカメラを回して寝ていましたが、夜中にひとりでにドアが閉まったり、電気が勝手についたり、足音が聞こえたりしました。そしてこの頃からケイティが急に眠ったままベッドの横に立ちすくすようになります。その日はそのまま外に出て外のベンチに座りながらケイティは寝てしまいました。朝になり、ミカがそのことを話してもケイティは何も覚えていませんでした。そして、ミカはケイティに内緒でヴィジャボードを机の上にのせました。すると誰もいない部屋でヴィジャボードは動き出し、いくつかのアルファベットをさし、発火しました。

 

ヴィジャボードを使ったことをミカはケイティに強く叱られましたが、ヴィジャボードを指していたいくつかのアルファベットを並べていくつかの名前に見覚えがないかケイティに訪ねます。ケイティは心当たりがないといいましたが、調べてみると1960年代にケイティと同じ症状に悩まされていたダイアンという女性を見つけました。彼女は悪魔払いをしており、亡くなっていました。

 

ある日の夜、ミカは悪魔の足跡をとるために床に白い粉をまいて、明かりを消して二人は眠りにつきました。目を覚ますと、床には白い粉を踏んだ足跡があり、足跡をたどると天井裏へつながる部屋を見つけ、ミカは天井裏に向かおうとします。ケイティは必死で止めますが、ミカはやめません。天井裏から、焼けた幼少時代のケイティの写真を見つけました。

それからも、ケイティの様子はおかしくなる一方で寝ている間に何者かに足を引きづられて途中で意識を取り戻し、ミカの名前を叫び、なんとかミカが助けますがケイティの体には噛み跡がついていました。ミカはこの家が呪われているから、とりあえずホテルに行こうと誘います。しかし、ミカが荷物を車に積み終わった頃にケイティは急にここにいたいと言い始めました。そしてもう大丈夫、と笑みを浮かべました。

 

その夜もケイティはベッドから立ち上がります。ミカの毛布がはらりと床に落ちました。しかしミカは目を覚ましません。ケイティはベッドの周りを歩き回り、2時間ほど立ち続け、午前3時14分にケイティは寝室の外に出て行きます。1分後にケイティの今まで以上の叫び声が聞こえて、ミカは飛び起き、ケイティの元へ向かいます。しかし、寝室に戻る足音がすると寝室のカメラに向かってミカが異常な早さで吹きとんできて、カメラが倒れます。そしてカメラにむかって顔が何かにとりつかれたかのように歪んだケイティがカメラの画面全体に映り込み、カメラが壊れました。

 

“Micah’s body was discovered by police on October 11th ,2006.”

ミカは2006年10月11日、警察により遺体で発見された。

“Kaitie’s whereabouts remain unknown.”

ケイティの所在は不明のまま。

 

みどころ

終始ミカの撮っているカメラの映像を見続けているような臨場感がいままでにない感覚がたのしめます。

 

実話が元になっているということで、リアリティがあって一気に引き込まれます。

 

今作はパラノーマルアクティビティシリーズの一作目で、このほかにもたくさんのシリーズが公開されているようで、ケイティがどうなったかという今作ではわからないまま終わったシーンが別作品でひもとかれるようになっています。

 

感想

みどころにも書いたように、ホームビデオを見ているような不思議な感覚が余計に実際に起きたことを見ているような怖さを演出していたように思います。

 

ミカの自分勝手な性格と行動には終始いらだちを感じますが、正反対のふたりを使うからこそ飽きることなく物語を見終わることができました。

 

徐々になにものかに蝕まれていくケイティの演技も見応えがありました。

 

次作が気になる展開です。

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