制作国:2017/アメリカ
上映時間:111分
原題:The Endless
配給:クロックワークス
監督:ジャスティン・ベンソン、アーロン・ムーアヘッド
出演:ジャスティン・ベンソン、アーロン・ムーアヘッド他
閉じ込められている場所:生死を繰り返す不可思議な領域
アルカディアあらすじ
主人公の2人の兄弟ジャスティンとアーロンは10年前、カルト集団とも言われる自給自足の村「アルカディア」を脱走し、今は町で暮らしていました。
ある日2人の元にビデオテープが届き、再生してみるとそこには女性が写っており、全員「昇天」したといっていました。ジャスティンは「昇天」=集団自殺のことであると考えており、現に10年前集団自殺を嫌がってアーロンを連れて脱走したのであった。しかし脱走してから10年がたっていて、弟は「村人が本当に自殺したのか、戻ってみたい」といい、はじめは反対していた兄ですが寄るのは少しだけで、1泊したら戻るという約束で「アルカディア」の村へ出発しました。
車で村の近くまで来ると、村の入り口には杖のようなものが刺さっていました。そして村に着くと村の様子や香り、そして村人は40歳になるはずですが以前と全く変わっていませんでした。村人は2人を歓迎し、夜になると焚き火を囲みました。そして兄は村のリーダー格のハルにビデオの話をしました。そして村の伝統儀式などをして夜の時間を過ごしました。弟がもう1日村に残りたいというのでもう1日だけ村に残ることにしました。
2人は村でののどかな日常を過ごしますが、何かが引っかかります。兄がハルに訪ねてみると「何かが起こっていると思うが、皆答えがわからない」と答えます。夜空を見上げると月が2つありました。そして「湖にあるブイのところに潜って真下にあるものを掴め、答えが見つかる」「偉大なる存在。我々を支配する力、神、永遠の時間」といいました。
翌日兄はハルの言葉通り湖に潜りました。そして湖の底から引き上げた工具箱野中にはテープが入っていました。「神に身を捧げれば、宇宙と一体になれる」と兄が終末について教えを説いている映像でした。ハルは偉大なる存在のメッセージであり、今回は「許し」であるといいました。このテープを見て兄とハルは言い争いになり、ハルは兄弟に村に出るよういいましたが、弟のアーロンは村に残るといって聞きません。兄が弟をおいて村から出ようとしますが、車のエンジンがかからず、徒歩で村から出ようとすると道に迷ってしまいました。
迷っていると小屋を見つけました。小屋に行くと首を吊った男がいて驚くと目の前の死体と同じ男が後ろから現れました。その男はここに住む人間はそれぞれのスパンでループしているということ、そのループが長い人間もいれば短い人間もいることを教えてくれました。男は数時間おきに自殺をして、しかしすぐに生き返ってまた自殺をするということを何回も何回もループしているのでした。リセットする瞬間にその境界内にいるとおまえも永遠に抜け出せない、道を教えてやるからある男の家に行き銃をもらってこい、視覚に頼るなコンパスを見ろ、といってコンパスと地図を渡してくれました。
そしてその頃、弟は兄と昨晩喧嘩してしまったが兄を見つけたいとハルに助けを求めます。ハルは道を教えてくれました。そして空には3つの月が出ていて3つめの月が満ちる前にここに居たいかどうか決断しろと言いました。
兄は銃を持った男の家につきました。そしてその家には2人の男がいてこの2人の男たちもまた無限のループを繰り返していました。銃をもらい、急いで境界を抜け出しました。
弟はテントを見つけました。テントの中では5分刻みで生きたり死んだりを繰り返している男を見ました。そして急いで兄を探し巡り会えましたが、弟はここに残りたいと兄に告げます。兄は、アルカディアの村に住めば永遠に生きることができるが、生きたり死んだりを繰り返す同じことの繰り返しだと説得しますが、弟は街に帰ってもつまらない日々の繰り返しだと反論しました。
2人が「アルカディア」に戻ると、いつもは鍵かかかっている小屋の鍵が開いていました。中に入ってみると小屋の棚にはびっしりとビデオやカセットが詰まっていて、テレビには最新の自分たちが映っている映像が映し出されていました。そして「アルカディア」の住民たちが1日目に自分たちを歓迎し、儀式をしていた広場に集まっている映像があって、偉大な何かが人々を飲み込み、さらに2人を襲おうとしていました。2人は必死に車を手で押してエンジンをかけます。後ろから何かに追いかけられていますが、なんとか元来た世界に戻ることができました。しかし「アルカディア」の住人はまたしても再生し、ループは続きます。
みどころ
密室系サスペンス、ホラー映画のジャンルにはなりますが、映画全体のテーマとしてははじめ劇中に挿入されている引用文「人間の感じる最たる恐怖は未知なるものへの恐怖である」「友人は互いに感情を打ち明けるものだが」「兄弟が本音を明かすのは死の間際」というものがテーマであるように感じます。未知なる恐怖「アルカディア」を通して兄弟愛が最終的には深まっていくというような人間ドラマになっています。
また、主演のジャスティン・ベンソン、アーロン・ムーアヘッドが監督・脚本・撮影・制作を手がけており、ヌーシャテル国際ファンタスティック映画祭で国際批評家賞、プチョン国際ファンタスティック映画祭で最優秀作品賞を受賞しています。
感想
以前抜け出した集団自殺カルト集団に戻ってみるというあらすじから、もっとすさまじいあまり理解することのできない、視聴中ずっとよくわからない恐怖に包まれるのかと身構えていましたが、のどかな田舎町が舞台で、むしろ理想的な暮らしとまでもとれるような村で、暴力シーンや流血シーンも少なく視覚的な刺激は少なかったです。
しかし、不思議な伏線は序盤から出ては来るのですが映画の最大の盛り上がりが映画の終盤間近であるため、面白いという感想を抱く人もいれば、少々つまらないなと感じる人も多そうです。