制作国:イギリス
上映時間:101分
原題:EXAM
配給:クロックワークス
監督:スチュアート・ヘイゼルダイン
出演:ルーク・マブリー
ジミ・ミストリー
チュク・イウジ
ポリアンナ・マッキントッシュ
ジェンマ・チャン
閉じ込められている場所:試験会場
あらすじ
ある企業の最終就職試験の受験資格を手に入れた国籍の全く違う8人が試験会場に到着しました。8人が席に着席すると、試験監督が試験の説明を始めます。
この試験のルールは3つです。1つめは、試験監督及び出口のドアに立っている警備員と一切話してはいけないこと、2つめは、試験用紙はいかなる理由があっても“損じ”ないこと、3つめは、試験会場からはいかなる理由があっても退出してはならないことです。この3つのうち1つでもルールを破るとその場で失格となってしまいます。試験時間は80分、1つの質問に対して答えは1つです。
試験が開始され、8人が解答用紙をめくると試験用紙は白紙でした。まっさらな試験用紙を前に8人の受験者は混乱します。1人の女性は白紙の解答用紙に志望理由を書き始めました。すると出口ドアの前に立っている警備員が動き出し、彼女を部屋から連れ出そうとします。彼女は試験用紙を質問の答え以外の答えを書いて“損じて”しまったのです。また、彼女は警備員に話しかけてしまい、試験は失格となってしまいました。
受験者は残り7人となってしまいました。そのうちの1人が3つのルール以外のことをしても、失格にはならない点に目をつけ、会話を始めました。彼は残り7人に見た目の特徴からニックネームをつけて呼び始めました。自らをホワイトと名乗ります。ホワイトは全員で協力して質問を探そうと提案しました。7人中6人は賛成したのですが、デフと名付けられた引っ込みがちな男性1人が反対しています。
6人は、まず光に着目しました。光によって文字が浮き出るのではないかとライトに紙をかざしましたが文字は見えません。
次に、ライトの中の非常灯に目をつけ、ライトを壊し非常灯を点灯させますがそれでも文字は見えません。さらにその後も、非常灯の奥の赤外線の蛍光灯、“損じた”1人目の解答用紙を使って体液をつけてみたりと試していきますが文字が見えることはありませんでした。
ブルーネットやダーク、ブラックは引き抜きにより応募してきましたが、ホワイトやブラウンは自ら応募していました。引き抜きにより応募した彼らは企業情報をいくつか知っていましたが、ホワイトとブラウンは知りません。ホワイトとブルーネットが口論になる中、ダークたちの情報から会社の名前がわかりました。どうやらこの会社は製薬会社で以前世界的に若者に広まった病気の薬を開発していたようです。
行き詰まって着目したのはスプリンクラーを発動させることでした。ブルーネットは警備員のポケットからライターを見つけて奪い取ります。このことはルールに違反しないため、警備員はロボットのように微動だにすることはありません。ブルーネットが椅子にのり、ライターを近づけますが天井が高く、反応しません。そして“損じた”紙に火をつけて近づけました。しかし、その紙はホワイトがこっそりブルーネット本人の試験用紙にすり替えていたため、ブルーネットは失格となり、またスプリンクラーから放射された液体でも質問の文字が浮かび上がってくることはありませんでした。
ホワイトは暴走し始め、気に入らなかったデフを脅し、デフ本人の試験用紙を破かせ、失格にさせました。連れていかれるデフは眼鏡を落としていきます。デフはほかの受験者が相談しているとき、一人タイマーのそばにいて眼鏡と割れたガラスを使ってぼそぼそと独り言を言っていました。
ホワイトのやり方があまりにもひどかったためブラックが怒って殴り気絶させ、いすに縛り付けました。しかし彼の様子がおかしくなってきたのです。実は彼も世界的に広まった病気にかかっており、毎日決められた時間に薬を服用しなければ中毒症状を起こし、死んでしまうのです。しかし、ブラウンが彼の薬を盗んでいました。そしてブラウンが薬を手ではじいて溝に落ちてしまいます。ダークはホワイトを助けるために試験監督に声をかけてしまい、失格となります。ブロンドがヘアピンで溝から薬を拾ってホワイトを助けますが、意識が回復したホワイトは自分が質問を見つけたことを話しました。そしてライバルたちを失格に追い込もうとします。
ホワイトは警備員から銃を奪い、ブラウンを退出させます。ブロンドがブラックに合図して逃げようとしますが、ブラックは撃たれて倒れてしまいます。時間切れになってホワイトが試験監督に俺こそが答えだと話しかけますが、ホワイトは失格になってしまいます。少し前に失格になったデフが制限時間をいじっていたのです。そのためまだ試験時間内だったのです。足を片方だけ踏み入れて完全に退出していなかったブロンドがデフの独り言と眼鏡に着目し、眼鏡とガラス片を使って解答用紙を見てみると「質問1」と記されていました。
デフが戻ってきました。眼鏡を返すと何か質問は?とブロンドは聞かれましたが、ないですと答えました。最初の質問の答え、つまり1番目の質問の答えが正解だったのです。
銃で撃たれたブラックですが彼もホワイトと同じ病気でした。銃弾は病気の特効薬だったので、彼は生き返りました。そしてデフこそがこの会社のCEOだったのです。そしてブロンドが採用されました。
みどころ
この映画のみどころは、物理的には出口があっても精神的に密室の状況下でいかにして自分1人が採用されるためにどう動いていくかの心理戦にあると思います。採用されるための質問は何なのか?8人と一緒に考えながら一緒にはらはらどきどきすることができます。また、密室サスペンスの種類にはなりますが、流血表現やグロテスクな表現などはほとんどないため、サスペンスは好きだけど生々しい表現が苦手、という方でも楽しめると思います。あれはこれはとさまざまな方法を試していきながら、試験やルールの本質を映画の物語のなかに一緒に入って考えていく楽しさがあります。
また、どんどん受験者が減っていく生き残り戦で終わるのかと思いきや実はCEOのデフが最初から受験者に混じっていて一緒に働きたい仲間を探していて最後にまた登場するというどんでん返し的要素も楽しめます。
感想
密室系サスペンスという固定概念で映画を見進めると、別に連れ出されて痛いことをされるわけでも、密室内で特別痛いことをされるわけでもないため少々刺激が足りないかもしれません。
密室内で質問を次々試すシーンもいい意味で検討がつきやすいパターンを次々試していくので、痛々しい要素が少ないことや、ルールが3つだけ、就職試験でルール違反は失格というわかりやすい展開からして多くのサスペンス映画を見てきたサスペンス中級者、上級者ではなく、サスペンス初心者向けかもしれません。