作品概要
製作国:2015/アメリカ
上映時間:167分
原題:The Hateful Eight
配給:ギャガ
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:サミュエル・L・ジャクソン カート・ラッセル ジェニファー・ジェイソン・リー ウォルトン・ゴギンズ
閉じ込められている場所:吹雪の中の店
あらすじ
レッドロックを目指し雪山を移動していたマーキス・ウォーレン少佐は賞金首の死体を運ぶ途中、馬車を見かけて呼び止めました。乗っていたのはジョン・ルース。彼は賞金1万ドルのデイジー・ドメルグを手錠でつないでおり、御車の男性OB(オービー)と共にレッドロックに向かっていたのです。マーキス少佐を乗せてしばらく走ると、今度はクリス・マニックスに乗せて欲しいと頼まれます。クリスはレッドロックの次期保安官を名乗り、素性を怪しみつつも猛吹雪が迫っていたため馬車に乗せるのでした。
こうして5人は休憩すべくミニーの服飾店にたどり着きます。吹雪をやり過ごすため店に入ると、店の手伝いのボブ、絞首刑執行人のオズワルド・モブレー、小説を書いているジョー、老齢の将軍サンディー・スミザーズの4人がいました。店で会話をしながら互いの素性を明かしていく9人…ジョンは首吊り人(ハングマン)として名高く、生死を問わない賞金首でも生かして処刑台送りにしていました。そのため、デイジーを逃さないように手錠をしていましたが、「この中に彼女の仲間がいるのでは…?」と考えており、マーキスも嘘つきがいることに気付いていたのです。
―猛吹雪の中、店に閉じ込められた9人は、この後どうなるのでしょうか?
説明
マーキスはスミザーズ将軍と話を始めます。スミザーズ将軍の息子チェスターが前に自分を殺しに来たため、返り討ちにした…マーキスはチェスターを苦しめたことを語って、スミザーズ将軍を煽り、銃を抜かせた瞬間に撃ち殺すのでした。その行動に皆が驚きましたが、ひとまずOBとボブは死体を外に運びます。
OBは外に出て冷たくなった身体を温めるためコーヒー飲み、見ていたジョンもコーヒーを手に取ります。デイジーはギターを弾きたいといって歌い、ジョンはコーヒーを飲みながらそれを聞いていました。すると、OBとジョンは吐血し、そのまま息を引き取りました。
マーキスはオズワルド、ジョー、ボブを壁に向かって並ばせ、コーヒーに毒を入れたデイジーの仲間は誰かと問うのです。直前にコーヒーを飲もうとしていた保安官のクリスはマーキスと共に銃を構え、怪しい行動をた者を撃てと言われていました。マーキスは店の手伝いをしていたボブに「ミニーに雇われたと言っていたが、彼女はメキシコ人を嫌っていた」と詰め寄ってそのまま射殺。常連だったマーキスはミニーと他の従業員が既に殺されていると推理していたのです。
すると、マーキスは床下から撃たれ、オズワルドとジョーもそれを機に動き出そうとしますが、クリスはオズワルドを撃った拍子に銃弾を受けてしまうのでした。負傷したマーキスとクリスは銃を構えてジョーとデイジーに狙いを定めながら、地下に潜伏する者を炙り出します。その男はジョディ。デイジーの弟であり、彼女を助けるためにオズワルド、ジョー、ボブと共に待ち伏せをしていたのでした。ジョディはデイジーを撃たせないように地下から出てきてマーキスに撃たれ、ジョーは近くの銃に手を伸ばした際に同じく撃たれます。
銃弾を使い切ったマーキスはクリスにデイジーを殺すよう言いますが、彼女はドミングレギャング団だと名乗り、朝には15人の仲間がやってくると言ってクリスを取り込もうとしたのです。「マーキスを殺せば死んだ仲間に懸けられた賞金を渡す…」と、数万ドル以上が手に入ることでクリスを説得している途中で彼は出血多量により気絶。デイジーはマーキスを殺そうとしましたが、目覚めたクリスがそれを止めるのでした。
マーキスとクリスの傷は深く、死を悟ったためジョンの遺志を継いでデイジーを吊るし首にし、物語は幕を閉じます。
感想
閉じ込められた者たちの攻防が凄かった!
デイジーの1万ドルを横取りしようとする者か、彼女を助けようとする仲間か…首吊り人のジョンが馬車にマーキスたちを乗せるシーンから店で他の者の素性を怪しむシーンまでハラハラさせられる映画でしたね。吹雪で外に出られない中、マーキスがスミザーズ将軍を殺したことをキッカケに事態が急変し、次々と人が死んでいくというスピーディーな展開が見どころでした。
また、デイジーの仲間がミニーの店を襲った際の回想もあるため、物語としてとても分かりやすかったです。それまで嘘つきが誰なのか全く予想できず、騙し合いや推理模様はミステリーとしても楽しめる映画だといえるでしょう。
マーキスがスゴイ!
元騎兵隊で高額な賞金も懸けられていたマーキスですが、黒人であることから「ニガー」と呼ばれたり、過去に白人を殺したこともあるため他の者からの当たりも強い…しかし、彼は「リンカーンから手紙をもらったことがある」という一目置かれる存在だったのです。それがシチューを食べている際にウソだと暴かれるのですが、悪びれもせず有効なウソを堂々と明かしたのも印象的。ボブのウソを見破る観察眼と推理力にも驚かされましたが、スミザーズ将軍の息子を殺した時のことを語る姿は非道さも感じさせました。
血しぶき上がるアクションにも注目!?
毒入りコーヒーを飲んだジョンは苦しみながら吐血をする際の血の量が凄かった!床を地に染め、デイジーにも血を浴びせる…これが一番の驚きポイントかとも思いましたが、その後マーキスがボブのウソを暴いて近距離で銃を放って頭を吹き飛ばした時が最も驚きましたね。
銃を打ち合うのを始めとし、血が吹き出るシーンが多くて派手さもある中、サスペンスとしても楽しめます。非情さが無ければ生き残れない時代のとある雪山の店で起きた閉じ込められた者たちの映画『ヘイトフルエイト』は見どころ満載でした。