製作国:スペイン・オーストラリア
上映時間:1:35:20
原題:Buried
配給: ライオンズゲート・ギャガ
監督:ロドリゴ・コルテス
出演:ライアン・レイノルズ、ロバート・パターソン、ホセ・ルイス・ガルシア・ペレス、スティーヴン・トボロウスキー、サマンサ・マシス
閉じ込められている場所:土の中
あらすじ(ネタバレ無し)
ポール・コンロイが目覚めると、そこは人が寝る広さ度しかない木の棺らしき中…トラック会社(CRT社)に務める彼はイラクのバクーバでトラック数台でキッチン用品を運んでいる途中、突然爆発が起きて男たちに乱射された際に気絶し、今に至るのです。
事態を飲み込めずポールは混乱しつつもペンやライター、少量の酒などを持っていることを確認して、足元に携帯電話があるのに気付きます。911に電話をしますがオハイオ州につながってしまったため、家の留守電に国防総省に連絡するよう伝言を残したり、FBIのシカゴ支部に電話したりして事情を伝えますが救出の見込みが無くでいら立つポール…
そして、一度かかってきた電話に掛け直してみると「兵士だろ?」と見覚えの無いことを言われすのです。ポールをさらった犯人は9時までに500万マネー用意しないと助からないと言って電話を切りました。用意できるアテも無く途方に暮れるポールでしたが、ドナに電話をして国務相の番号を教わり、掛けてみますが身代金は払えないとのこと…ポールは「俺の命はどうでもいいのか!?」と食って掛かりますが、テロ対策担当のブレナーに回されるのでした。
ブレナーは落ち着いており、ポールを救うために尽力すると言います。すると、犯人から再び電話があり、足元の袋に入っている袋のメモを読み上げて人質ビデオを撮るようにと命じました。ひとまずポールはブレナーに電話をして犯人の電話番号や、自身が不安障害であることを伝えます。今度は犯人からメールが…そこには同僚の女性が銃を突きつけられており、ポールは慌てて人質ビデオを撮影して送りますが・・・果たしてポールは救出されるのか?犯人の同行にも注目です。
結末・ネタバレ
ポールの願いもむなしく同僚の女性は殺され、その模様を録画した動画を見てポールは絶望します。酸素を節約するために大人しくしていたポールですが、木箱のすきまからガラガラヘビが入って来たため、持っていたお酒をかけてライターで火を付けました。火に驚いたヘビは逃げ出しましたが、今度は地上で爆撃があったせいで木箱にヒビが…サラサラとした砂が入りこんで来ることで、ポールに残された時間は少なくなるのです。
トラック会社から電話があり、事情を説明すると急に録音を始めると言い出すのでした。その内容はポールが拉致に合った時は既に当社の社員では無かったという通知…死を悟ったポールは妻や子供のために遺言用のビデオを録り始めるのです。またもや犯人から人質ビデオを撮れと言われるのですが、今度は「血を流せ。指をナイフで切断しろ」とのこと…ポールは死を覚悟していたため撮ろうとしませんでしたが、ブレナーから「犯人の他の一味から情報を得て棺の場所に近づいている」との連絡が!
それを聞いたポールは指を切り落とす動画を録画し犯人に送り、時間を稼ぎつつも家族に手を出さないように言うのです。しかし、砂はもうじき棺を埋めそうに…ブレナーと電話をつなぎつつも彼が舞台と共に掘る音が聞こえてきますが、「そんな…」と声を上げました。ブレナーが掘り起こした棺にはポールのではなく、それを聞き届けたポールは砂に埋もれてしまうのでした。
閉じ込められた状況に緊迫感!
ポールはどうして閉じ込められたのか、そして誰に閉じ込められたもわからず焦る姿が緊迫感満載の映画の始まり!ライターで明かりを付けると頭がすぐにぶつかるほどの高さしか無く、身体の向きを変えようとするのも難しい木箱の棺の狭さは見ているだけでも息が詰まる思いでした。
カメラワークもポールをアップにしたり、持っているモノだけを映したり、明かりが付いたり消えたりする演出も合わせて危機感が伝わってきましたね。そして、不安障害を患うポールは一度パニックになるとしばらくそれが続いてしまう様子が印象的です。こんな目に遭うことにバタついたり、せっかく電話がつながった知人に怒鳴ってしまい、その後も口汚く悪態をついたり…余裕の無さがリアルさも表していました。
そうしたポールのパニックになった描写や危機が迫る際のBGMと、大人しく寝ているだけしかない時のBGMの緩急が良くて音響の演出にもこだわりを感じさせます。
誘拐犯も電話相手も恐ろしく思えてくる内容
ポールが色々な人に電話を掛けていくのですが、家族の電話は留守電、公的機関ではたらい回し…そうした状況下において、身代金を払ってもらえないことに怒りを露にするポールですが、大体の相手は事務的な対応しかしてくれないのに恐ろしさを感じましたね。ブレナーだけは懸命に捜索し、時には正直に現状を伝えてくれる誠実さもあったのですが…ポールが生きて戻れなかった結末には驚きです。
その中でもトラック会社から電話があって、「あなたは職務規定に違反したため、事件に遭った際には自社の社員では無かった」と言い放つ非情さには怒りを通り越して呆れてしまいました。実際にポールのような目に遭ったら、こんな風になるのかもしれませんね…
一方で、犯人の冷酷さも恐ろしい!「誘拐はビジネス」とのことで淡々と人質ビデオを録らせようとし、家族の住まう住所も脅しの材料にする…こうしたことを繰り返しやって来たとのことで、これまで何人の犠牲者がいて絶体絶命の危機に瀕したのかと思うと怖いですね。
動きようのない閉鎖空間にて少量の明かりと、電池が限られた電話、そしてタイムリミットが迫る状況が揃い、助けが見込めないストーリーにハラハラさせられる映画です。