制作国: 日本
上映時間: 129分
原題:東京島
配給: ギャガ
監督: 篠崎誠
出演: 木村多江、窪塚洋介、福士誠治、柄本佑 他
閉じ込められている場所:無人島「東京島」
あらすじ
結婚20周年の記念に清子と隆の夫婦やヨットで旅行に出かけました。しかしラビの途中で海難事故似合い無人島にたどり着きました。夫婦が無人島で暮らしてからしばらく後に、与那国島で行われていたアルバイトから逃げてきた16人の男たちが夫婦の暮らしている無人島に住み始めました。そして彼らのうちの誰かが「東京島」と名付けました。
無人島生活に慣れてきた清子は、大して役に立たない夫を崖から突き落として殺します。そしてすぐに男たちの中の一番強い男「カスカベ」と再婚します。カスカベの清子への独占欲は凄まじく、少しでも清子と仲良くする男には暴力を振るいました。
ある日、清子と男たちが食料を探していると中国人の集団5~6人と遭遇します。男たちは清子をおいて慌ててカスカベのところへ報告しに行きました。するとしばらくして清子は豚肉を中国人たちに分けてもらったと喜びながらカスカベのもとへ帰ってきました。カスカベは男たちが清子をひとり中国人の集団のいるところに残し戻ってきたことと、清子が自分の身体と引き替えに豚肉をもらったと勘違いし激怒して中国人たちのところへ行ってしまいました。
翌日、カスカベは遺体で発見されました。清子やほかの男が悲しんでいる中、群れずに一人で行動していたワタナベはカスカベの遺体を見て大笑いしたあと、中国人グループと遭遇して意気投合して仲間になりました。ワタナベは中国語を理解できないけれど彼ら言葉は理解することができました。
数日後、清子の夫をくじ引きで決めることになりました。次の夫に決まったのはGMと呼ばれる記憶喪失の男でした。そして清子はGMに「ユタカ」と名前をつけました。
ある日、中国人のボスに自分の女になればこの島から脱出させてやろうという話を持ちかけられました。数人乗れるのがやっとの丸太のボートが用意してあり、清子はGMを裏切り、中国人グループの仲間になったワタナベも裏切り自分一人だけ中国人と東京島から脱出します。
数週間後、陸と森が見え大喜びで泳いで島まで向かいましたが、それは出発したはずの東京島でした。そして、GMを見つけますが、GMは以前と雰囲気が変わって島のリーダーになっていました。清子がいない間に記憶を取り戻したようです。そして、清子に自分の妻ではなく島の男全員の女として生きていくよう言われました。
清子が家の中に1人でいるところにワタナベが現れます。食中毒で死んでしまえとワタナベはフルーツを投げつけ去って行きました。空腹に耐えることのできなかった清子はフルーツを食べ、数時間後体調不良を起こして道ばたで吐きました。すると2重人格の不思議な男、マンタが清子に声をかけました。マンタの中のカズコが「あなた、きっと妊娠したのよ!」と言います。思い当たる節があったため、一晩考えて清子はGMに妊娠を打ち明けました。そして妊娠を機にGMや島の男たちとの仲が元のように戻ってきました。
数ヶ月がたつと、ワタナベが外部の船に見つけられて助かりました。その後、中国人の集団のほかに5人の若い女性たちが同じ島に住んでいることがわかりました。清子はその中の1人、イラン人の女性のキムと仲良くなります。そして彼女たちに見守られながら清子は女の子のチキ、男の子のチータの双子を出産しました。
その後、助けが来るのをあきらめた島の男たちは東京島で暮らすことを決意し、裏切り者の清子を襲いに来ました。そのときチータを奪われてしまいます。しかしGMに「この子は俺が育てる!」と背中を押され、なんとかボートで清子とチキ、キムの3人で東京島から脱出しました
10年後、東京島で生き残っている男たちと中国人グループ、4人の女たちは和解し、ひとつの村を築きあげていました。清子とGMの子供であるチータは東京島の王子になって10歳の誕生日を東京島で迎えます。同日の日本では清子とキムとチキの3人がお誕生会をしています。そして、清子は東京島での出来事を10歳になったチキにこれから話すのです。
みどころ
・1945年から1950年にかけてマリアナ諸島のアナタハン島で起きたアナタハン島事件を元に作られたフィクションで、リアリティがありました。
・紅一点の女性という「性」を武器に勇ましく生きていく木村多江の表情が良かったです。
・非日常な舞台で生きるために必死な人間の醜さなどはライトに描かれているため、荒々しい暴力や性描写が苦手な人は観やすい作品と感じました。
感想
まずフィクションではあるものの元となる実話があることに驚きました。調べてみると本作品は実話よりもだいぶエンターテインメントとして観やすいような映画になっているということがわかりました。見始めは、ハーレム下の生きるために必死な状況で生き残るためにゲテモノを食べたり、殺し合ったり、清子を巡って激しい取り合い、性描写があるかなと不安に思っていましたが、映画がそこに焦点を当てるのではなく、“生きること”に焦点を当てていたので、見終わった後も精神的に疲れることがなかったです。
物語の終盤になるにつれて東京島独自の島生活や文化が根付くラストには意外性がありました。