1408号室【ソリッドシチュエーションスリラー映画レビュー】

制作国: アメリカ
上映時間: 106分
原題:1408
配給: ムービーアイ
監督: ミカエル・ハフストローム
出演: ジョン・キューザック、サミュエル・L・ジャクソン、メアリー・マコーマック、ジャスミン・ジェシカ・アンソニー、トニー・シャルーブ
閉じ込められている場所:1408号室

 

あらすじ

主人公マイクはしばらく前に、幼い娘を病気で亡くし、妻のリリーと別居したのち、オカルト作家として生計を立てていました。心霊ホテルの取材をするため、老夫婦が営むホテルへ向かいました。そのホテルでは、階段で1860年にメイドが首を吊って、いわくつきの客室となったそうです。その話を老夫婦から聞きながら、マイクはうんざりしていました。そしてその客室に宿泊し、部屋を隅々までチェックしました。レコーダーで部屋の状況をレポートする音声を残して、何も起こらないまま朝を迎えました。

 

マイクは神や天国、地獄、幽霊という存在を信じていませんでした。見えるもののみを信じて生きているのです。

 

ある日の昼間、マイクはサーフボードにのっていました。そして頭上にのぼりをぶらさげた飛行機を見つけ、その文字を読もうとしたら波にのまれておぼれてしまいました。なんとか一命を取り留めます。

 

その後、郵便局に立ち寄り自分の郵便物を受け取るとカフェでコーヒーを飲みながら手紙類のチェックをしました。すると一通の絵はがきに目がとまりました。「NYドルフィンホテル1408号室に入るな」という文字を見て、ホテルに電話をかけてみました。1408号室に泊まりたいというと日にちをいう前に「ふさがっております」と言われ、断られます。不思議に思い、新聞記事を調べるとそのホテルの1408号室ではホテルの窓から投身自殺を客がしたようでした。マイクは、ドルフィンホテルへ向かい、1408号室に宿泊させるよう直談判しました。マイクは支配人の部屋に通され、支配人に1408号室は恐ろしい部屋であるため、どうしても宿泊させたくない、1時間も耐えられたものはいないと止められました。そして、1408号室では自然死も含めると56人の客が死んでいることがわかったのです。56人の死亡理由をまとめたファイルをマイクに渡し、隣の同じ間取りの部屋に泊まり、このファイルをそのまま出版すればいいとも諭しましたが、マイクはいうことを聞かず、資料と年代物のコニャックを受け取り、1408号室に向かいました。

部屋のある14階につくと、隣の部屋にベビーカーを押す若い女性が入っていきました。1408号室に入りました。花柄の壁紙の、至って普通の部屋でした。壁には「海に浮かぶ帆船」「老婦人と子供」「犬を使って狩りをするイギリス貴族」の絵が飾ってありました。アンティークなクローゼットに、聖書もありました。部屋の中を隅々まで見渡し、三角に折りたたまれたトイレットペーパーを引きちぎり、ゴミ箱に捨てます。上にスライドさせる窓をあけ、NYの都会的な町並みを見ていると、いきなり愛のプレリュードが大音量で流れ出しました。驚き、窓に頭をぶつけます。振り返ると枕に2つのチョコレートがおいてありました。誰かの仕業だと思い、もう一度部屋の中を見渡しました。通風口を見渡しましたが、異変はありませんでした。バスルームに行くと、先ほどちぎったトイレットペーパーがなぜかきれいに折りたたまれています。チョコレートのゴミもゴミ箱から消えています。

 

エアコンの温度が調節できないため、マイクは修理をフロントに頼みました。修理業者を向かわせている間、特殊光学機器をつかい、血液反応を調べます。部屋のあちこちに血痕がうかびました。

 

ドアがノックされ、エアコンの修理業者が来ましたが、その人は部屋の中に入りたくないといい、口頭で修理を指示します。修理業者ですら、1408号室には入りたがらないようです。

マイクが酒を飲もうとすると、ラジオの時計が60分をカウントダウンし始めました。すると耳鳴りのような、不快感を覚え、窓を開けました。すると窓が勝手に閉まり、左手が挟まれ出血します。洗面所で血を洗い流そうとすると、急に熱湯が噴き出し、止まらなくなりました。電話が鳴ります。頼んだ覚えもないサンドイッチが遅れるという連絡でした。そして再び電話があり「チェックアウトなさいますか」と聞かれます。

 

部屋を出ようとマイクはドアノブを回しますが、ドアが開かず、鍵を指すと鍵が折れ、ナイフを突っ込み鍵が開きました。急いでドアノブを回すとドアノブがとれてしまい、内側から扉を開けるのは不可能な状態になってしまいます。

 

ホテルの向かい側のへやに明かりがついていることに気がつきました。大きな身振りでジェスチャーをすると、なぜか相手も同じ動きをします。そして、向かいの窓の自分と同じ動きをする影に、後ろから何かを振り下ろす影が見えました。急いで振り返ります。

 

それからというもの、不思議な現象が次々に起こりました。テレビが急につき、娘が生きていて幸せだった頃の家族の動画でした。資料に載っていた死んでいった人間たちの幻覚を見たり、浴室に死んだはずの父親を見たりしました。

 

ベビーカーを押した親子が宿泊しているはずの部屋の壁が亀裂が入り、血が流れ落ちます。隣の窓までの距離を歩数で計算し、壁をつたって脱出しようとしました。足場は靴が一足なんとかのるような大きさで、距離をイメージしながら進みますが、進んでも進んでも、隣の窓は現れないのです。元の窓に戻り、避難経路の図を見ると、1408号室いがいが真っ黒になっていて、窓の外はレンガ造りの壁になっており、もう窓の外に出ることもできなくなっていました。テレビには、娘の画像が流れています。部屋全体が寒くなってきました。雪が降りしきります。パソコンを持ってきていたことを思い出し、妻のリリーにテレビ電話をつなぎます。ホテルの名前と部屋番号を告げて警察に連絡をするように必死で伝えますが、リリーは仕事があって相手にしてくれませんでした。すると、火気もないのにスプリンクラーが発動し、パソコンが故障してしまいます。スプリンクラーを壊してなんとか水を止め、通風口から隣の部屋に行こうとしました。隣の部屋にはなぜか妻と死んだはずの娘がいました。そしてミイラのような男が追ってきました。慌てて部屋に戻ります。

 

冷蔵庫を開けると、支配人が見えました。「おまえの勝ちだ」といって聖書を開くとはじめに見たときは印刷されていた言葉が全部消え、白紙になっていました。

 

パソコンからリリーの声がしました。警察に通報して、自分もあと15分でホテルに着くと言いました。来ちゃだめだ、といいますがリリーには聞こえていません。そしてなぜか自分そっくりな自分がリリーと話をしていました。リリーが通話を着ると、自分そっくりな自分はウインクをして消えました。

 

部屋の絵が変わり果てていました。スプリンクラーから再び水が放出されます。するとサーフボードが見えました。目を覚ますとマイクは一度おぼれたときと同様に砂浜の上に横たわっていました。飛行機は「格安保険は1408」と書かれていました。もう一度気を失って病院へ行き、再び今までと同じ日常が戻っていました。郵便局へ行き、郵便物を受け取ると、郵便局員がドルフィンホテルのフロント係の顔にそっくりなことに気がつきました。すると郵便局員たちが壁を破壊し始め、それは幻覚であったことに気がつきます。またしても先ほどの寒い1408号室でした。

少し離れたところから「寒いの」と死んだはずの娘がやってきました。「いかないと叱られる」という娘を抱きしめましたが、マイクの腕の中で娘は2度目の死迎えました。あと3分で1時間が経過します。娘はマイクの腕の中で灰になりました。そしてカウントダウンが0になります。やっとおわる、と思ったとたん、部屋が元に戻りました。また時計が60分のカウントダウンを始めます。電話が鳴り、出ると「お客様のご要望により、何度も追体験できます。チェックアウトもできます」とフロント係が言いました。部屋には首つり用の縄が用意されていて、娘の墓の横に自分の墓まで用意されていました。

 

「ご準備できましたか?」という電話に「断る」と答えましたが、「奥様があと5分でつきますのでご案内します」といわれ、必死に断りました。受話器は溶けていきました。

 

リリーを同じ目には遭わせられないと、マイクは1408号室ごと自害することを決意しました。コニャックの瓶に布をつめ、部屋に投げました。

 

そのころホテルロビーでは大混乱です。火災報知器が作動し、避難を開始していました。消防隊が1408号室へ到着し、マイクを救助しました。視界の片隅で1408の数字が溶けてゆきます。支配人は「よくやったよ、エンズリン(マイクのこと)」とつぶやきました。

 

マイクはNYの病院で目覚めます。妻のリリーも横にいました。現在ドルフィンホテルは休業中で、古い配線が出火原因とされているようです。

 

2人は一緒に暮らすことにしました。ホテルで起きたことをリリーに話しても信じてくれません。ホテルにチェックインした際の荷物の中からレコーダーを取り出しました。レコーダーを再生すると、マイクと娘の会話が録音されていました。それを聞いて血の気が引いているリリーに、マイクはにやりと笑いました。

 

みどころ

「ミザリー」や「シャイニング」など有名なホラー映画の原作を数多く手がけているスティーブン・キングが原作を手がけており、彼の著作が好きな人は楽しめる作品になっていると思います。

 

様々な謎がちりばめられていて、数多くの考察がされている作品のため、自分の考えにぴったりな考察を見つけるのも楽しいかもしれません。

 

感想

1408号室という1+4+0+8=13のようなわかりやすく呪われた部屋で不可思議な体験をするというわかりやすいテーマではあるものの、ラストは見る側が様々な予測ができる余韻が残っていていい意味で記憶にのこる映画だと思いました。

 

どんどん危機的状況に陥っていく主人公に感情移入してしまうとあっという間の108分でした。

 

ネット上に上がっている考察の中には、背景にキリスト教の教えを考えたりとかなり深く読み込んだ考察などもあり、映画の上映時間内だけでなく視聴後も楽しい映画だなと思いました。

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フォーンブース【ソリッドシチュエーションスリラー映画レビュー】

制作国: 日本
上映時間: 129分
原題:東京島
配給: ギャガ
監督: 篠崎誠
出演: 木村多江、窪塚洋介、福士誠治、柄本佑 他
閉じ込められている場所:無人島「東京島」

 

 

あらすじ

結婚20周年の記念に清子と隆の夫婦やヨットで旅行に出かけました。しかしラビの途中で海難事故似合い無人島にたどり着きました。夫婦が無人島で暮らしてからしばらく後に、与那国島で行われていたアルバイトから逃げてきた16人の男たちが夫婦の暮らしている無人島に住み始めました。そして彼らのうちの誰かが「東京島」と名付けました。

 

無人島生活に慣れてきた清子は、大して役に立たない夫を崖から突き落として殺します。そしてすぐに男たちの中の一番強い男「カスカベ」と再婚します。カスカベの清子への独占欲は凄まじく、少しでも清子と仲良くする男には暴力を振るいました。

 

 

ある日、清子と男たちが食料を探していると中国人の集団5~6人と遭遇します。男たちは清子をおいて慌ててカスカベのところへ報告しに行きました。するとしばらくして清子は豚肉を中国人たちに分けてもらったと喜びながらカスカベのもとへ帰ってきました。カスカベは男たちが清子をひとり中国人の集団のいるところに残し戻ってきたことと、清子が自分の身体と引き替えに豚肉をもらったと勘違いし激怒して中国人たちのところへ行ってしまいました。

 

翌日、カスカベは遺体で発見されました。清子やほかの男が悲しんでいる中、群れずに一人で行動していたワタナベはカスカベの遺体を見て大笑いしたあと、中国人グループと遭遇して意気投合して仲間になりました。ワタナベは中国語を理解できないけれど彼ら言葉は理解することができました。

 

数日後、清子の夫をくじ引きで決めることになりました。次の夫に決まったのはGMと呼ばれる記憶喪失の男でした。そして清子はGMに「ユタカ」と名前をつけました。

 

ある日、中国人のボスに自分の女になればこの島から脱出させてやろうという話を持ちかけられました。数人乗れるのがやっとの丸太のボートが用意してあり、清子はGMを裏切り、中国人グループの仲間になったワタナベも裏切り自分一人だけ中国人と東京島から脱出します。

 

 

数週間後、陸と森が見え大喜びで泳いで島まで向かいましたが、それは出発したはずの東京島でした。そして、GMを見つけますが、GMは以前と雰囲気が変わって島のリーダーになっていました。清子がいない間に記憶を取り戻したようです。そして、清子に自分の妻ではなく島の男全員の女として生きていくよう言われました。

 

清子が家の中に1人でいるところにワタナベが現れます。食中毒で死んでしまえとワタナベはフルーツを投げつけ去って行きました。空腹に耐えることのできなかった清子はフルーツを食べ、数時間後体調不良を起こして道ばたで吐きました。すると2重人格の不思議な男、マンタが清子に声をかけました。マンタの中のカズコが「あなた、きっと妊娠したのよ!」と言います。思い当たる節があったため、一晩考えて清子はGMに妊娠を打ち明けました。そして妊娠を機にGMや島の男たちとの仲が元のように戻ってきました。

 

数ヶ月がたつと、ワタナベが外部の船に見つけられて助かりました。その後、中国人の集団のほかに5人の若い女性たちが同じ島に住んでいることがわかりました。清子はその中の1人、イラン人の女性のキムと仲良くなります。そして彼女たちに見守られながら清子は女の子のチキ、男の子のチータの双子を出産しました。

 

その後、助けが来るのをあきらめた島の男たちは東京島で暮らすことを決意し、裏切り者の清子を襲いに来ました。そのときチータを奪われてしまいます。しかしGMに「この子は俺が育てる!」と背中を押され、なんとかボートで清子とチキ、キムの3人で東京島から脱出しました

 

10年後、東京島で生き残っている男たちと中国人グループ、4人の女たちは和解し、ひとつの村を築きあげていました。清子とGMの子供であるチータは東京島の王子になって10歳の誕生日を東京島で迎えます。同日の日本では清子とキムとチキの3人がお誕生会をしています。そして、清子は東京島での出来事を10歳になったチキにこれから話すのです。

 

みどころ

・1945年から1950年にかけてマリアナ諸島のアナタハン島で起きたアナタハン島事件を元に作られたフィクションで、リアリティがありました。

 

・紅一点の女性という「性」を武器に勇ましく生きていく木村多江の表情が良かったです。

 

・非日常な舞台で生きるために必死な人間の醜さなどはライトに描かれているため、荒々しい暴力や性描写が苦手な人は観やすい作品と感じました。

 

感想

まずフィクションではあるものの元となる実話があることに驚きました。調べてみると本作品は実話よりもだいぶエンターテインメントとして観やすいような映画になっているということがわかりました。見始めは、ハーレム下の生きるために必死な状況で生き残るためにゲテモノを食べたり、殺し合ったり、清子を巡って激しい取り合い、性描写があるかなと不安に思っていましたが、映画がそこに焦点を当てるのではなく、“生きること”に焦点を当てていたので、見終わった後も精神的に疲れることがなかったです。

 

物語の終盤になるにつれて東京島独自の島生活や文化が根付くラストには意外性がありました。

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フォーンブース【ソリッドシチュエーションスリラー映画レビュー】

制作国: アメリカ
上映時間: 81分
原題:Phone Booth
配給: 20世紀フォックス
監督: ジョエル・シュマッカー
出演: コリン・ファレル、フォレスト・ウィテカー、ラダ・ミッチェル、ケイティ・ホームズ、キーファー・サザーランド、他
閉じ込められている場所:電話ボックス

 

あらすじ

スチュは口が達者な既婚の世渡り上手の広告マンです。浮気相手の新人女優パムに電話をかけるため、8番街にあるいつも使用している電話ボックスに入ります。電話をしているとなぜか宅配ピザが電話ボックスに届きます。しかしスチュには頼んだ心当たりもないため追い返します。そしてパムを誘うことに失敗してしまいます。

 

その直後公衆電話がなり、思わずスチュは電話を取ってしまいました。電話口からは男の声がして、その男は妻やパムのこと、スチュが妻がいながらパムに惚れていることまでなぜか知っています。そして電話の男は妻のケリーに真実を話せと脅します。

 

スチュが携帯からケリーに電話をかけると、ケリーの電話に知らない男から電話が来たことを話してくれました。

 

電話ボックスに娼婦たちがやってきます。なかなか電話ボックスから出てこないスチュに相当怒っています。しかし電話の男はスチュに「電話を切ったら殺す」と脅します。電話の男は近くの建物からライフルでシチュを狙っているのです。近くにあったロボットのおもちゃを実際に撃って見せて、シチュを怖がらせます。電話の男はドイツのポルノ王や株を独占した重役も自分が「処刑」したと話します。

 

電話を譲らないシチュにしびれを切らした娼婦のオーナーの男が電話ボックスのガラスを割ります。スチュが襲われそうになり、電話口の男がライフルでオーナーの男を殺しました。娼婦たちは電話口の男の存在を知らないため、シチュがオーナーを殺したのだと騒ぎ始めました。

 

スチュはこっそりと携帯から911をコールします。しかし電話ボックスには盗聴器が仕掛けられており、裏切り行為だと電話の男はシチュの耳を撃ちました。そして警察が到着し、シチュは電話ボックスに立てこもっている犯人と誤解されます。

 

レイミー警部がスチュに交渉をしますが、男の指示で電話ボックスから出ることはできません。電話に気になった警部が逆探知をするよう指示しますが、他人の番号になりすましているため特定ができませんでした。ケリーが現場に駆けつけ、自分にも知らない男から電話がかかってきたことを警部に告げました。電話口の男は、シチュに今ケリーにパムの存在を話せと命令しました。そうすれば解放してやるといわれ、従わないと殺されてしまうので、シチュはケリーにパムのことを話します。

 

しかし、シチュは解放してもらえませんでした。シチュは怒って電話を切って電話ボックスの外に出ると、電話口の男がケリーの頭にライフル銃の赤外線を当てます。警部は狙撃犯がいるとわかったため、スチュに電話を取るよう命じます。警部は気づかれないよう真犯人の捜索をしますが、男はずっとスチュを挑発し続けます。パムも現場へ駆けつけました。男はパムを撃たれたくなければ銃を持つよう言いました。しかし銃を持つとスチュ自身が警察に撃ち殺されてしまいます。スチュは怯えたふりをしてしゃがみました。そして携帯でケリーに電話をかけます。電話の音声を聞かせようとしたのです。ケリーが警部にその携帯を渡しました。警部は近くのビルに緊急処理班を配置するよう命じました。

 

 

男がスチュにカメラに向かって自分の罪を告白しろと脅迫しました。スチュは自分の過ちを告白しました。

 

男がケリーを殺すというのでスチュは急いで電話ボックスの外へ出て自分を撃つよう叫びました。するとスチュを警察がゴム弾で打ちました。警察は電話の男の居場所を突き止め突入しますがすでに自殺していました。スチュが自殺した男の顔を確認すると宅配ピザの男でした。スチュが救急車で鎮痛剤を打たれて意識がもうろうとしていると、電話口の男の声がしました。そして「ピザ屋は気の毒だった。君の誠実さが続かないようだったらまた電話する」といってライフルケースを持ち、立ち去っていきました。

 

みどころ

・狭い電話ボックスという密室で顔の見えない恐ろしい犯人に命を狙われるという設定で、飽きてしまうのではないかと思っていたが81分スピード感があって飽きずに最後まで見ることができました。

 

・緊張感や不安感、恐ろしさを近くで見ているような感覚になれました。

 

・非現実すぎない設定(電話ボックス)なのでもしも自分に起こったら?という楽しみ方ができます。

 

 

感想

映画が終始とある町の電話ボックスと狭い範囲だけの映像ではあるけど、スリリングがあって一気に81分が過ぎました。

 

電話の男が歴代「処刑」してきた男はたしかに「処刑」されるだけの罪を背負っている気がするけれど、スチュに関してはどうして実際に関係を持ったわけでもない女性に心が浮ついた程度でターゲットにされたのかが最後まで謎でした。

 

あえて謎を残して考察を観客に託すタイプの余韻を残す映画なのかなという印象なので、サスペンスものの伏線回収を物語内で済ませてほしい人はもやもやが残るかもしれません。

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unknown/アンノウン【ソリッドシチュエーションスリラー映画レビュー】

製作国:アメリカ
上映時間:85分
原題:unknown
配給:ムービーアイ・エンタテイメント
監督:サイモン・ブランド
出演:ジム・カヴィーゼル/バリー・ペッパー/グレッグ・キニア
閉じ込められている場所:廃工場

 

■あらすじ

とある廃工場。

 

ジャケットを着た男が目を覚まします。自分がなぜここにいるのか、そもそもここはどこなのか全くわかりません。

周囲には他にも男がいました。

 

手錠で繋がれた男。椅子に縛られた男。倒れている男。ジャケットの男が縛られた男を助けようとすると、シャツを着た男が記憶が戻るまでやめたほうがいいと制しました。

 

倒れていた男が目を覚ましますが鼻が折れているようです。

 

手錠の男と縛られた男、身動きの取れない2人を放置してこの廃工場から出るために出口を探します。しかし、鍵が掛かっており脱出することは不可能でした。

 

状況を整理し、一体何が起こったのか考えますが、5人が争ったことは明白でした。

 

一方そのころ、誘拐された実業家の夫を救うため、妻であるエリザがFBIの協力のもと身代金を運ぼうとしますが犯人は現れないまま金だけが奪われてしまいます。

 

工場内ではトイレに置かれた新聞や、警備員の死体、フラッシュバックによる断片的な記憶からとある企業の社長と財務担当をこの廃工場に誘拐したことが発覚します。

 

そしてこの5人のうち3人が誘拐犯の一味で、2人が人質であることが判明します。

 

記憶が徐々に戻るなか、記憶を無くした原因が乱闘の際、漏れ出たガスであることもわかりました。

 

その時、工場内の電話が鳴り響き、ジャケットの男が電話に出ます。

 

電話の相手は誘拐犯のボスでした。ボスは工場内で起きたことは知らない様子でかつ電話口の相手であるジャケットの男には何の違和感も感じていない様子でした。

 

ボスは夕方までには工場に向かうと伝え電話を切ります。

 

それぞれが不信感を抱き、疑心暗鬼になります。

 

そしてとうとうボスが到着してしまいます。しかし、足取りを掴んでいたFBIも同時に廃工場へ突入します。

 

撃ち合いになり、ジャケットの男とシャツを着た男以外死亡してしまいました。

 

エリザはシャツの男と抱き合います。そう、シャツの男こそが誘拐された実業家だったのです。一方で捜査官達から賞賛を浴びるジャケットの男はFBIの捜査官だったのです。

 

解決したかに思えた事件ですが、最後にジャケットの男の記憶が蘇ります。

 

なんとエリザとは不倫関係にあり、夫を事故に見せかけ殺害し巨額の遺産を手に入れ2人で暮らすという裏があったのです。

 

■みどころ

目覚めた5人には全く記憶が無く、廃工場に閉じ込められているという設定が非常に秀逸です。工場から出たくても術が無い、周りの人間を信用して協力するべきか?しかし争った形跡がある以上無闇に背中を向けることが出来ない状況での心理的攻防は見ものです。

 

ラストシーンでは主人公自身がこの事件の裏を思い出す事で全貌が明らかになるという構成も映画の締め括りとしては面白いです。

 

また、主演のジム・カヴィーゼルをはじめ、バリー・ペッパーなど派手さは無いですが、映画通好みのキャスティングも本作の魅力の1つです。

 

■感想

登場人物はそれぞれ悪人にも善人にも見えます。本人たちも自分自身が悪か善か分からず葛藤し、より疑心暗鬼になっていきます。

 

容姿、声や話し方、所作が人に与える印象、またそれをどう受け取るかは人それぞれで間違っている事も往々にしてあるのかもしれません。

 

人は見た目で判断してはいけません。突き詰めると人は職業や地位で判断する事も難しいのかもしれません。

 

もし自分がこの状況に置かれた時、自らの行動に現れるのは善か悪か?そんなことを想像しながら観るのも楽しみ方の1つかもしれません。

 

とにかく先が気になり、二転三転するストーリーにのめり込むことでしょう。

 

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10 クローバーフィールド・レーン【ソリッドシチュエーションスリラー映画レビュー】

制作国:アメリカ合衆国
上映時間:103分
原題:10 Cloverfield Lane
配給:東和ピクチャーズ
監督:ダン・トラクテンバーグ
出演:メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ジョン・グッドマン、ジョン・ギャラガー・Jr.
閉じ込められている場所:シェルター

 

あらすじ

ある日、ミシェルは婚約者のベンと電話で口論になり家を出てひとりで夜道を車で走っていた際に、車に接触され事故を起こしてしまい気を失ってしまいました。

 

ミシェルが目を覚ますと、レンガ造りの部屋に監禁されていることに気づきました。右膝を負傷していたようで、治療されていて点滴を打たれています。膝につけられた金具は壁につながれていて、少しの範囲しか移動することができませんでした。部屋の反対側には車に積んであったミシェルの私物が置かれていて、点滴のポールを倒し、なんとか引き寄せて携帯を手に取りますが、圏外です。

 

扉の近くで物音がしました。食料を持ってひげを生やした初老で小太りの男性、ハワードが入ってきます。ミシェルは逃がしてほしいとお願いしましたが、ハワードは誰も来ないといい、松葉杖を渡しました。

 

ミシェルはハワードを攻撃しようとしますが、撃退されてしまい、鎮静剤を打たれてしまいます。ミシェルが目を覚ますと、ハワードは「ここに連れてきたから命が助かったんだ」といって、事故の夜、米国か世界が化学兵器か核攻撃か、そんなものから攻撃を受けて、今はハワードが作った農場の地下シェルターに避難しているということをいいました。ミシェルが電話をしたいといいますが、ハワード曰く、外の人間はみんな死んでいて、電話はつながらないといいます。ミシェルはハワードや、ハワードが言うことを不審に思っていました。

 

つぎ目が覚めたとき、左肩を負傷した若い男のエメットに出会いました。エメットは食品棚の間に作られたスペースで暮らしているそうです。そしてエメットにもハワードと同じ、攻撃を受けていることを言われました。

 

ハワードは、エメットだけでなく、娯楽室やキッチンを見せて回り、フランクとミルドレットという飼い豚を紹介されました。ドア越しに豚小屋を見ると、豚の死骸がありました。一見外は何も異常がないように見えますが、外気に触れると豚の死骸のようになってしまうというのです。

 

しかし、ミシェルは2人のいうことを信じられませんでした。時々、地下シェルターの上に車が通るような音がしました。ミシェルは外への脱出を考えます。ハワードの腰のポケットに入っている鍵束を奪い、外に逃げようとしました。二重になった外への扉の内側を開くと、外に車が止まっているのが丸窓から見えました。外に出ようとしますが、内扉の方からハワードが必死に止める声が聞こえます。外の車から女性が出てきました。顔が血まみれで、「助けて、ほんの少しガスを浴びただけ」といって中に入れてほしいといいます。だんだん女性は凶暴になって、開けろ、開けろと窓に頭を何度も打ち付けます。この光景をみてミシェルは外に出ることを断念しました。

 

ハワードはミシェルに少し外気に触れたかもしれないからとシャワーを勧めて、ハワードの娘、メーガンの服を着替えとして貸しました。そして、ミシェルに事故を起こしたのは、攻撃があって急いでシェルターに戻ろうとしてミシェルの車を追い越そうとした時に自分が起こしてしまったということを告げました。ミシェルはハワードが言っていることが真実であると思うようになりました。

 

3人での生活が続きます。ミシェルはハワードの娘の話を聞きました。ミシェルと同じくらいの年で、離婚した妻がシカゴに連れて行ったため、今どうしているのかはわからないそうです。

 

 

ある日、エアフィルター装置に異常が発生して、1番体のちいさなミシェルが換気ダクトを通って再起動させにいくことになりました。装置を再起動させたついでに天窓をみると、内側から書かれた「HELP」という文字を見つけました。自分と同じように監禁されていた人が、外部に助けを求めるために「HELP」という文字を書いたに違いありません。窓の下には緑のイヤリングが落ちていました。そのイヤリングは、ハワードが見せてくれた写真の中のメーガンの耳についていたものと同じでした。

 

このことをエメットにこっそり相談しました。すると、エメットはメーガンの娘の写真を見て、これは妹の同級生で2年前に行方不明になったブリタニーという女の子だといいました。ハワードの嘘にミシェルは混乱してしまいました。

 

エメットとミシェルは2人で脱出計画をたてました。まず、エアフィルターを再起動させにいった時に、触ったカーテンが汚染したかもしれないと言ってハワードに交換させました。そしてそのシャワーカーテンをミシェルが裁断して、ボディースーツを作りました。一方でガスマスクも作ります。ハワードはこのことを何も知らないため、エメットとミシェルが仲良くなるのを見て、2人がよからぬことを考えていると思いました。

 

ある日ハワードは2人にドラム缶を見せました。中身は過塩素酸で、衛星を打ち上げるときの燃料で人間さえも溶かしてしまうようです。ハワードはエメットになぜガムテープとはさみを盗んだのか質問しました。それらはボディースーツを作るために盗んだものでしたが、ミシェルをかばい、自分のせいにしました。ハワードはエメットを銃で撃ち、遺体を過塩素酸につけました。ミシェルはエメットが死んでしまったことに悲しみながら、スーツを完成させました。そして、ハワードに見つかってしまいます。ミシェルはハワードに過塩素酸のドラム缶を倒して、スーツとガスマスクを持って通風口から逃げました。シェルターは過塩素酸によって爆破されてしまいました。

 

 

脱出したミシェルが外の景色を見ると、あまり変化は見られません。頭上に鳥が飛んでいるのが見えました。車の防犯ブザーが鳴り始めると、音を聞きつけた飛行物体が近づいてきます。金属でできた、魚の形をした飛行物体です。巨大宇宙船が近づくと、緑色のガスを巻きました。ミシェルは慌ててガスマスクを装着します。飛行物体は小屋を一瞬で焼きました。ミシェルは自分の車に逃げ込みました。酒瓶と地図の紙切れで火炎瓶をつくり、地球外生命体の口の中に火炎瓶を突っ込みました。

 

車で急いで逃げ去っていると、ラジオから南部海岸区域は南部が奪回していて、ヒューストンには助けを求める人がいるので、医療病院にいてほしいという音声が聞こえました。曲がり角で、ミシェルはヒューストンを選択して、ヒューストンに向かいました。

 

みどころ

・ハワードが本当のことをいっているのか、嘘を言っているのか、ミシェルだけでなく、視聴側も本当に外に出るまでわからずはらはらします。

・物語後半に、ミシェルがハワードから逃げるシーンは使われている音や、映像の臨場感がすごく、見応えがあります。

・前作はクローバーフィールド/HAKAISHAになっています。前作との共通点やつながりを探してみるのも面白いかもしれません。

 

 

感想

クローバーフィールド/HAKAISHAの続編の本作ですが、直接的なつながりはないので本作単体でも楽しむことができます。物語の大半を密室内で過ごすのですが、外の地球外生命体も恐ろしいですが、シェルター内でずっと一緒に過ごすハワードの人間的恐ろしさもあり、外でも内でも恐怖を避けることはできず、どちらが正解かわからないというところが視聴者を引き込みます。最後にミシェルがヒューストンに車を走らせるシーンで映画は終わってしまったので、彼女が助かったのか助からなかったかもわかりません。視聴者に物語のその後を想像させる展開も、視聴後の余韻につながりました。

 

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